|理事長所信

鈴森賢史

2014年度 公益社団法人岡山青年会議所

第64代理事長 鈴森 賢史

 

 

 

 

 

 

 

はじめに
岡山青年会議所は大きな試練を迎えています。公益事業のあり方、急速に進む会員数の減少、不安定な経済状況など、高くて厚い壁が行く手を阻んでいます。私たちはこれまでも時代に合わせていくつもの変革を積み重ねてきましたが、もはや以前と同じやり方を踏襲するだけでは、ひとづくりの風土、まちづくりの志を次代につないでいくことが、難しくなってきています。これからこのそびえ立つ壁に挑み、乗り越えるためには、より強く、そしてより早く個々の成長を促し、最強のひとづくり団体へと進化しなければなりません。
一生懸命やった分だけ成長できるひとづくりの風土は、岡山青年会議所が誇る素晴らしい財産です。今こそこの財産を最大限活用する時です。一人ひとりの成長とともに、組織としての成長を加速させ、誇り高いひとづくりの団体として多くの人材を輩出し、郷土おかやまの発展に貢献すること。それが、現状を打破して発展し続ける唯一の手段です。楽な道ではありません。他の誰かが通った道でもありません。全員が力を合わせてやっと通れるような道を、苦労するからこそメンバーと組織の成長につながる道を、敢えて進みます。
「青年は人類社会発展の原動力」と謳う設立趣意書を読むと、心の底から湧いて出る志、自分たちの手でやってやろうという、たぎるような情熱を感じます。私たち岡山青年会議所は常にこの創始の精神に立ち返り、ゆるぎない信念と勇気をもって自ら最初の一歩を踏み出しましょう。私たち一人ひとりの成長が原動力となり、まちの発展に貢献する人材を送り出すことは岡山青年会議所にしかできないことであり、私たちは、ひとづくりにおいて岡山で唯一無二の存在なのです。「活力あふれるひとづくりの団体」として圧倒的に存在感を高め、郷土おかやま発展の原動力となりましょう。

挑んで学ぶ、成長への道
岡山青年会議所は、育った環境も仕事も価値観も違う者同士が、切磋琢磨して自分を磨く「学び舎」です。入会の動機はさまざまですが、多くの事業を仲間とともにやり抜き、さまざまな立場や役割を経験する中で、礼儀を身につけ、相手を思いやる心を育み、いつかはおかやまのためにリーダーとして行動できる人間へと誰もが成長することができるのです。この学び舎は教科書やビジネス書に書いてあることを勉強する場ではなく、より強く生きる力を身につける最高の道場です。大切なのは、何を学んだかではなく、どうやって学んだか。人が困難な局面に出会い受身で直面することを臨むと言い、困難な局面を自らの意志で乗り越えようとすることを挑むと言います。やってやろうという気概を持って、自ら高みに挑むことが真の学びにつながるのです。挑戦し、仲間とともに心が震えるような感動体験をたくさん積むことが、自らの成長の糧となります。そして将来、JCで成長できたからこそ、おかやまのリーダーとして活躍できる自分の姿を目指しましょう。
また、ひとづくりの手法については、変革の時代に相応しい形に思い切って進化させていく必要があります。厳しい経済情勢のもと、会社や家族の応援を受けながら活動している以上、私たちは自分の成長と行動で、その期待に全力で応えるべきです。目的意識を持ったメリハリある手法により、JCに入って大きく成長したなと周囲から評価されるくらい、メンバー自身と会社や家庭が成長の喜びを共有できるようにしていきましょう。

人財あふれるまちづくりの道
公益社団法人格を取得し、昨年まちのファシリテーター(とりまとめ役)の役割を目指してきた岡山青年会議所は、今後ますます「公の利益」を重んじ、率先して市民や行政との連携を深めて事業を展開しなければなりません。
特に教育問題については、行政や子を持つ世代でもある私たちを中心に大変な危機感があります。かつて教育県と謳われた面影はなくなり、全国でも低位にある学力、不登校、校内暴力に関するデータは、教育現場の活力のなさを感じさせます。気候も良く自然に恵まれ、産業や文化も発展しているにもかかわらず、本来子どもたちが享受すべき健全な成長の機会が失われているようで、残念でなりません。このままでは未来ある子どもたちに申し訳なく、まちの魅力や活性化という視点からも大きな損失です。親や地域の大人たちも子どもを育む力を学び、子どもたちがよりよく生きる力や人生を豊かにする考え方を身につけることができるような事業を行います。
また、昨年20回を迎えたうらじゃは過去最高6900人の踊り子と58万人の観客を集め、ますます市民に支持されるまつりへと進化しました。大学生の就職用履歴書で「学業以外に特に力を注いだこと」という欄がありますが、ここにうらじゃでの活動をあげる学生もいます。うらじゃの経験を糧として自信と学びを得る若者の姿を見ると、まつりが単に踊って楽しいイベントだけではなく、心を鍛え、未来を切り拓くきっかけとなっていると感じます。その意義を強く意識しながら、さらに市民が誇りに感じるまつりへと発展するためにも、日本各地から踊り連やファンを呼びこみ、観光資源として多くの人を呼べるように、愛され誇りとされる第21回うらじゃを支援します。
岡山青年会議所のまちづくり事業は人を集めて盛り上がる、その場限りのイベントではありません。事業を通して私たち自身まちづくりができる人材となるために、そしてまちづくりに志を持って行動できる市民を一人でも増やすためにあります。まちづくりができる人材とは、現状を学び、まちの未来を思い描いて行動できる人材のことです。岡山市の市政や商圏がダイナミックに変化を迎える今こそ、行政や市民と連携し協力して事業を創る「協創力」を高めるとともに、人と人のつながりを深め、JC内外の人的交流を深め、まちづくりに積極的な「人財」の発掘につなげます。

感謝の心が拓くおもてなしの道
人と人が集う場では、お互いが気持ち良く過ごすための暗黙のルールとして、礼儀作法やマナーが存在します。これらは国や地域、時代に応じて意味や作法も違ってきますが、洋の東西を問わず無数にあります。礼儀は相手に対して敬意や感謝の気持ちを表し、人と人とを温かく結びつけることで関係を円滑にし、快適に暮らすための先人の知恵です。
岡山青年会議所では、県の内外で、また海外でも各地のメンバーと交流する機会がたくさんあります。そして例会ではメンバー同士が結束と絆を強め、学びが生まれます。そうした貴重な場を設営する際には、礼儀を強く意識した心地よい演出と快適な空間、そして楽しくてためになる体験が大切になります。私たちは相手を思いやる言葉、表情、作法、そして大切な時間を割いて参加いただくことへの感謝の気持ちで、自他ともに心地よい人間関係を引き出し、参加者全員の心が一つになる場を創り出します。
参加する側である場合、こうした交流の機会を設える情熱と苦労は、おもてなしを体で覚えてきた私たちにはよく理解できるはずです。その志に思いを馳せ、意を汲み、感謝の心を持って参加することは、相手への礼儀と敬意を示すだけでなく、結局は友情や学びとして自分自身に返ってくるものです。設営の気遣いを感じとれる感性を大切にし、自ら実り多い時間とすべきです。
さらに、こうした場にはJCメンバー以外の関わりがあることを忘れるわけにはいきません。公開例会や市民の方とともに交流する機会も増えています。参加する市民やボランティア、事業に関わる全ての人々に、交流の場にあふれる感謝の心を感じていただけるよう、しっかりと誇りある青年経済人の背中を見せていきましょう。

気持ちを一つに組織進化の道
会員を拡大する活動は、まちづくりができる人材を増やす活動であり、即ち公益活動そのものと言えます。けれども残念ながら岡山青年会議所については「よくわからない」「大変そう」といった声が多いのが現状です。入らなければ本当の魅力が分からない、とはよく言われることですが、だからこそその魅力を言葉と行動で示さなくてはなりません。己を律し、背中を見せ、公益目的事業の成果について、誇りと自信を持って語りましょう。すばらしい成長体験、まちづくりにかける真摯な姿勢、かけがえのない仲間について、言葉を尽くすのです。語るべき相手は岡山市の20~30代とすると、19万人もいます。臆することなく会って語ってを積み重ねれば、魅力は確実に届き、私たちの情熱が相手の心に響くことでしょう。
また市民の皆様に対しても、JCの活動内容についてのPRはまだまだ不足しています。70万人の岡山市民に愛され存在感ある団体として認められるためには、公益目的事業の広報が最も大切な活動となります。マスコミや行政と協働し、あるいはインターネットを活用しながら、まずは広く発信し認知を高めます。市内各種団体とのネットワークも大きな力となります。「仕込み」を意識した広報戦略を立て、事業はその意義と成果を堂々と、日々の活動は楽しみながらこまめに発信することで岡山青年会議所固有の価値を伝えます。
公益社団法人として新たなスタートを切った岡山青年会議所は、活力あふれるおかやまの創造のために、これからも持続的に発展し続けなければなりません。厳しい環境ではありますが、岡山青年会議所の組織運営の課題は、ある意味どの企業にも起こりうる問題です。創業300年を超える長寿企業が、日本には600社以上もあるそうです。戦争や災害、産業構造が大きく変わる中で、生き延びてきたこれらの企業の多くで共通するのは、変化への対応力と、強い結束力。過去の成功体験に縛られずに、一丸となって困難に立ち向かう姿勢は、多くの日本人が本来持っている気質なのではないでしょうか。岡山青年会議所が今後、持続的な発展を遂げる団体であるためには、いついかなる時代でも、伝統に学び、かつ変化を怖れず、気持ちを一つにして、組織を進化させる努力をし続けることしかありません。質量ともに強固な組織、財政、運営方針に向けて英知を結集し、将来にわたって安定した基盤を整備するため、大胆な変革も恐れずに行動しましょう。

終わりに
もし岡山青年会議所に入る道を選んでいなかったら。時折そんな思いを持つことがあります。礼儀礼節、おもてなしの心、郷土愛、常に学び続ける姿勢と仕事への自信、尊敬する先輩、そして生涯の仲間。学校や職場だけでは経験できない、自分の想像を超えた成長の機会を、JCでは得ることができます。
チャンスの活かし方は人それぞれかもしれません。無謀な挑戦は、周囲に迷惑をかけて終わることもあるでしょう。けれども、ことJCにおいては、仲間が応援してくれる限り、艱難辛苦に立ち向かう勇気を持つべきです。メンバーが修練、奉仕、友情をとことん体験することを通して、1年間の事業年度が終わる頃には、見違えるように大きく頼もしくなっていく姿を見るたびに、岡山青年会議所のすばらしい魅力を感じずにはいられません。「そんなの無理」とできない理由を探す前に、成長の機会が目の前にあれば、迷わず全力で掴みにいきましょう。チャンスは自ら掴むものです。そして自分の手で掴んだからには、一生懸命取り組むしかありません。臨むのではなく、挑まなくては得られない成長の喜びが、そこにはあります。
そして何よりも頼りになるのは、一緒に活動する仲間の存在です。ともに苦しい経験を乗り越える同志がいれば苦労は割り算、感動は掛け算です。仲間がいるから成長できる。仲間と苦労を分かち合った経験は達成感へと昇華し、以前の自分では見ることのできなかった新しい世界が広がるはずです。

あの時、JCを選ばない道もあったかも知れない。でも私たちにはわかります。あの時JCを選んだからこそ、よりよい人生の道を歩んでいることを。

 最後に、本年度も公益社団法人日本青年会議所に多くのメンバーを出向させていただきます。岡山青年会議所としても、地域を超えて果たすべき役割を全うしてまいります。
 特別会員の皆様方、関係各位におかれましては、公益社団法人岡山青年会議所に対しまして、絶大なるご支援ご協力を賜りますことを、心よりお願い申し上げます。

公益社団法人 岡山青年会議所
公益社団法人 岡山青年会議所事務局 〒700-0985 岡山市北区厚生町3丁目1番15 岡山商工会議所ビル6階
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