|理事長所信


 

 2013年度 公益社団法人岡山青年会議所


 第63代理事長 尾﨑 茂

 

 

 

 

 

 

 

 
戦後の荒廃から立ち上がった人々の勤勉な努力により、逞しく復興を遂げた日本。右肩上がりの高度成長に、人々は希望を感じ、豊かな生活を手に入れてきました。一方で著しい経済発展は、日本人の生活スタイルや考え方を変えてきました。「論理と合理」を優先し個人の権利を尊重することで、いつしか他人同士の摩擦を避けるような、索漠とした都市生活が広がり、「義理と人情」で人と人を結ぶムラの共同体は失われてきました。
そして2011年3月11日に発生した東日本大震災による、あまりに残酷な、あまりに無情な自然の猛威。原発事故による放射能汚染も重なり、日本の将来は失われたかに見えました。けれども、震災直後から身を寄せ合い、励まし合い、譲り合いながら救助を待つ姿、こころの痛みに耐えながらもなお避難所で規律を守る「日本人」の姿に、世界中から称賛の声が寄せられました。そして今、私たちは復興に向けて歩み始めています。大災害の経験は、日本古来より受け継がれてきた「絆」精神の大切さ、人と人とのつながりや「おもいやり」のこころがいかに大きな力となるかを呼び覚まさせてくれました。
もちろん被災された方々の苦しみは今なお続いているうえに、日本はもとより世界中で拡大している政治と経済の混乱が、将来への漠然とした不安として日々の暮らしに薄い影を落としています。このような混沌とした時代を切り裂き、灯をともすことができる我々Jayceeはいま、何をすべきなのでしょうか。
岡山青年会議所の財産は、先輩方から受け継いできた「ひとづくり」の風土です。何事もまず一番に相手のことを考える徹底したおもてなしの精神、長い年数をかけて培った礼節、仲間との一体感を大事にして活動する組織力など、岡山青年会議所でしか学べないことがたくさんあります。個々の持つ情熱を同志との友情でつないで行動し、明るい豊かな社会を築くことに喜びを感じることのできる私たちは、大いなる可能性を持っています。
岡山JC設立趣意書の結びには「祖国日本郷土岡山のあやまりなき再建にいささか貢献せんとする」とあります。今まさに岡山青年会議所が63年間受け継いできた大切な精神をもって、歩むべき道を自ら切り開き、さらなる飛躍へとチャレンジする時です。誰かが作ってくれるものではない、自分たちが作り上げるのだ、という気概、チャレンジスピリットを持ち、謙虚に、実直に、そして勇壮にJC活動に邁進していきましょう。

ひとづくり室 <挑戦こそ成長>
岡山青年会議所はこれまで「ひとづくり」に情熱と誇りを持って取組んできた伝統があります。時代によって形は変わっても、岡山JC三信条の「修練」は不易と流行を意識しながら守り育んできた岡山青年会議所の魂です。我々がひとづくりに情熱を注ぐ目的は、「己を律し、他の為にひとのこころをひとつにし、力を集中させる」ことができるリーダーの育成です。「己を律する」とは、欲望に走らず自らに厳しい規律を課して他の模範となること。リーダーが背中を見せなければ、周囲から尊敬も忠節も集めることは出来ません。「他の為にひとのこころをひとつに」することは、相手のことをとことん考え、思いやりを持って接することの出来る利他の精神を育むこと。そうしたこころを我々が持つからこそ、「礼節」に魂がこもり、相手に想いが伝わるのです。そしていま、この変化への挑戦のときだからこそ、仲間で想いを共有して、力を結集させていくことに全力を尽くします。結果として、清々しい感動経験と更なる自己成長を得ることができるのです。
岡山青年会議所という看板自体には、何の力もありません。看板の下にぽつんと立っていても得られるものは何ひとつないのです。同じ看板の下に集まった仲間同士、絆によって支えられた「ひとづくり」の風土の中で切磋琢磨しながら活動してこそ、昨日までの自分を超えることができるのです。
一方、ひとづくりを行うに必要な、岡山青年会議所の人数は80名を切り、会員拡大の重要性は年々増しています。残念なことですが、現在の岡山青年会議所に対する世間の評価は、必ずしも良いものばかりではありません。活動の魅力がうまく伝えきれていないことも要因ですが、重要なことは、それらが我々の対外事業に対する批判ではなく、大半がメンバーの行動や姿勢、あるいは組織運営に対する批判であることです。これらは謙虚に受け止め、己を律して、世間に通用する深い見識を示していく時です。自分が変わらない限り、他人の評価を変えることは出来ません。であれば、今の時代に即した行動と発言でリーダーシップを発揮し、気概を持って地域に貢献できる人材へと成長することで、我々の道を示すしかありません。そうすれば、JCのすばらしさを語る、こころの底から湧き出る我々の言葉は、強い説得力と信頼感を持ち、確実にそして徐々に相手のこころに響いていきます。
また、拡大という枠を超えて広く岡山青年会議所のブランド価値を高めるためには、公益目的事業を軸とした広報活動を行うことも重要となります。広報は、岡山青年会議所を理解してもらい、信頼してもらい、好きになってもらう、大切なコミュニケーションです。我々の「想い」が広く市民の皆様に伝わるように、マスコミと情報を共有しながら、また様々な新しいツールに挑戦しながら豊かな発想で、岡山青年会議所の魅力や活動内容をこまめに発信していくことが大切です。
~ローマは一日にして成らず~いきなり岡山青年会議所自体がトップブランドへと勝手に育つものではないのです。日々の小さな我々の行動の積み重ねが、将来の岡山青年会議所のイメージを造っているのです。

まちづくり室 <まちのファシリテーターへ>
岡山青年会議所はまちづくりに情熱を持って取組むことの出来る人材を育成する団体です。その人材の力を存分に発揮する為には、もっと行政との連携を密にし、公益に資する団体として、まちのベストパートナーへと昇華していく活動をしていかなければなりません。そのためには、何のしがらみにも影響されない「自立」した考えの下、「今の岡山には何が必要か」「岡山青年会議所がやるべき事業か」ということに徹底的にこだわって、自分たちのやるべきこと、自分たちにしかできないことを決定していかなければなりません。そしてやるべき道筋を見出した後は、まちのファシリテーター(とりまとめ役)としての役割をしっかり果たし、他団体や企業等を巻き込んでいく「共助」に力を尽くします。この「自立」と「共助」のサイクルが、これからの岡山青年会議所のまちづくりに求められる考え方であると確信します。
また、おかやまの夏の風物詩としてすっかり定着してきた「うらじゃ」に関しては今年第20回の節目の年を迎えます。偉大な先輩方が愛情をもって生み育て、多くの市民が関わりながら発展し続けている「うらじゃ」に関しては、もっと広い視点から「おかやま」の更なる賑わいに繋げられるよう、よりしっかり運営に関わっていかなければなりません。岡山の夏を代表する「まつり」として発展させ、そしてもっともっと市外県外から「うらじゃ」を楽しみに岡山に来て下さる人を増やしていくこと、それが私たちに課せられた大きな使命ではないでしょうか。
公益社団法人格の取得は、まちの「ベストパートナー」を目指す私たちに大きな追い風となります。いや、自分事ととらえて追い風にしていかなければならないのです。岡山青年会議所がまちづくりの団体を標榜する以上、我々一人ひとりに、本気でおかやまを良くしたいという熱意と行動が求められます。公益の責任を果たし、岡山にとってより必要とされる魅力的な団体へ。本気の行動で多くの市民の皆様と一緒に汗をかき、喜びを分かち合うことが、その志を実現させる一歩となります。

交流室 <笑顔溢れる至福の時間(とき)>
人間と人間がこころを通わせ、真の友情を培うのは、膝を交え語り合って過ごす時間と、ともに経験する苦労や感動の共有です。携帯電話が普及し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が広まっている現代社会においても、その法則は不変です。
メンバーが集う時間は、それぞれが仕事を調整し、家族との時間を削り、やっとの思いで生み出した貴重なものです。払った労力に見合うだけの「対価」が得られる機会であって当然なのです。その対価とは「笑顔溢れる至福の時間」ではないでしょうか。
例会は学び多き唯一無二の交流の場でありますが、今後は公益社団法人として対外的な評価に耐えうる会とする必要があります。例会で何をして何を得られるのか、そこにどのような意味を持たせるのか、テーマと成果をより明確にして開催することが求められます。
県外などで、全国各地青年会議所のメンバーと交流する場を設営する場合には、その目的を明確にし、気付きや学びがあり、友情を深められる最高の舞台を演出することに「こだわる」こと。その場に参加する時には、礼儀を弁えて振舞い、何でも吸収できるよう真剣な姿勢で参加することが必要です。与えられた役割がどのようなものであっても、まずは一生懸命参加してみることで、人の輪が広がり、多くの学びを仲間から教わり、自然と自分自身の糧となって戻ってきます。
これらの根本となるのが、岡山青年会議所がこれまで並外れたこだわりを持って運営してきた「おもてなし」です。私たちは入会してからこの「おもてなし」を徹底的に体に叩き込まれており、どのような場面でもスマートにこの「おもてなし」を実践することができるのです。常に相手のことを第一に考えて、相手の喜びを自分の喜びに変えることができる能力は、岡山青年会議所の伝統です。この「おもてなし」の訓練の場となる、交流の活きた機会を変わらず大切にし、「笑顔溢れる至福の時間」を創りだします。
しかしながら昔から続いている懇親の深め方、手法については、時代の流れもあり、一考を要する時期にきています。世間に認められる他の模範となる団体として、背中を見せなければならない立場となったことを常に意識しなければならないのです。

総務室 <これからのスタンダードへ>
友情で結ばれた絆を持ち、明るい豊かな社会を築くことに喜びを感じる我々の力は、いわば岡山青年会議所という組織の力でもあります。その組織力をまちづくりのために、より効果的に発揮すべく、我々はこれまで公益社団法人格取得を目指し、少しずつ内部の制度も変更を重ねてきました。昨年の7月5日から公益社団法人としてスタートしましたが、その名前にふさわしい組織としての器を整備することはもちろん、今まで以上に我々メンバー一人ひとりが広い視野と高いリーダーシップを身に着けて、組織としての力を高めていかなければなりません。公益性の高い団体として、そしておかやまから真に必要とされる団体として世間から求められるレベルが、一段上がるからです。高い精度と透明性が求められる事務局運営についても、個人の能力に頼らなくとも円滑な運営ができるように、ルールを学び、メンバーで共有することは不可欠です。誰かがやってくれる、ではなく全員が組織を継続させる当事者としての意識を持つべきなのです。今こそ、未来を見据えた組織運営を実行し、永続的に発展し続ける団体としてのスタンダードを築いていきましょう。
結びに
「できないって誰が決めた?それは自分自身だ」常に言い聞かせている言葉です。人間ほとんどのことは自分でできないと決めつけてしまい、挑戦していないだけです。本気でやろうと思えば必ずできます。出来るための方策を考えます。そしてやり抜きます。
いま岡山青年会議所は、会員減少や公益法人運営、対外的な事業のあり方など、組織としての困難な課題をたくさん抱えています。不安もあるでしょう。逃げたくなる時もあるでしょう。しかしながら、高い壁に怯えて立ちすくんでいても、現状は改善しません。
我々はそれぞれ「ちょっと無理をして」修練をし、成長してきました。組織としても、壁に挑戦することに、ためらうことはありません。メンバーの力を合わせて、いまの状況を突破しなければならないときなのです。考えるべきこと、やるべきこと、気をつけるべきこと、してはいけないことが細部にわたりいろいろありますが、幸いなことに、我々には63年間の歴史と伝統で受け継がれた教えが、しっかりと受け継がれてきています。困難を乗り越えるための道筋は、その教えから導かれるはずです。岡山青年会議所がその責務を果たして、未来に向けて進化し続ける団体であるために、不易と流行を深く、深く考えた上で、青年らしく前をまっすぐ見据えて、勇ましく凛とした姿勢で挑戦し続けていきましょう。信念を持って一歩ずつ道を進めば、必ず困難な壁を乗り越え、そして昨日までの自分たちには見えなかった新しい景色を見ることができるはずです。

まずは我々が変わろう。

そして、ともに岡山JCの明日を創ろう。

そう、我等はいつでも挑戦者なのだから。

最後に、本年度も岡山青年会議所は公益社団法人日本青年会議所へ数多く出向させていただくことになりました。岡山青年会議所の誇りを引き継ぎ、日本に対して果たすべき責務をしっかり全うするべく、組織を挙げて支援させていただく所存です。
特別会員の皆様、そして関係各位におかれましては、是非とも絶大なるご支援、ご協力を賜りますとともに、ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

e-みらせん〜政策本位による政治選択〜 公開討論会・検証大会



 
公益社団法人 岡山青年会議所
公益社団法人 岡山青年会議所事務局 〒700-0985 岡山市北区厚生町3丁目1番15 岡山商工会議所ビル6階
Access MAP
TEL 086-223-0938 / FAX 086-225-0500 info@okjc.org
リンク

岡山県
岡山市
岡山商工会議所

copyright © 2013 Junior Chamber Intemational OKAYAMA All Rights Reserved