理事長所信

2015年度 公益社団法人岡山青年会議所
第65代理事長 久松 朋史

久松 朋史私たちの暮らす岡山市は、人口70万人以上の政令指定都市になり、交通の結節点としての利便性や温暖な気候もあり、非常に恵まれた地域と言えます。
一方、社会では、SNSなどにみられるコミュニケーションツールの進化により、以前に比べ気軽に相手の情報が得られるようになった反面、その使用に偏重することにより、ひととひととが直接会って話す双方向の交流では無くなっています。希薄になった人々の関係は、次第に自分さえ良ければという風潮となり、偽装や詐欺、時には過去に経験したことが無い私たちの生命を根幹から脅かすような事件などが発生しています。そして、相手を思いやるこころは薄まり、社会全体がどこか出口の見えない先行きの不透明感に苛まれています。
このような時代にあって、私たちが暮らす郷土おかやまの為に、岡山青年会議所が果たすべき役割とは何でしょうか。
人々が自分の夢を持ち、自ら行動しようとする。そんなひとの輪を広げ、その結集が大きなムーブメントを起こし、「こころ豊かな魅力あるまち・おかやま」として発展する原動力となる。そのような運動を導くことが私たちに求められている役割です。
本年、岡山青年会議所は1951年2月6日の創立から65周年を迎えます。歩んできた道を見つめなおし、この先に続く道を決める大切な1年です。私たちが真に歩まねばならない道をメンバー全員が深謀遠慮をめぐらせ、思いをひとつに真っ直ぐ歩んで行こうではありませんか。そして、若者らしく新たな挑戦を恐れず、時代に先駆け、真に地域から求められる存在となり、JC運動を展開していきましょう。

ひとづくり室(気骨あふれる真の成長)

岡山青年会議所は、他に類をみない「ひとづくり」の団体です。青年の学び舎と言われる岡山青年会議所の修練は、礼儀礼節を重んじ、利他の精神を持ち、心身を厳しく育てることにあります。時代の移り変わりの中でその手法に変わりはあっても、岡山青年会議所が大切にしているのは修練です。どんな人間でも、生まれついたリーダーはいません。リーダーシップは、人間の資質では無く、それぞれの人の特徴を活かし、育み、磨き上げるものであり、頭で理解するものではなく、心と体で様々な経験をしながら学ぶものです。入会すれば、多くの魅力的なひとと出会い、共に時間を過ごすことや本気でぶつかり合うことで、修練を肌で感じることができます。そして、なりたい自分の姿を意識しながら、周囲からの期待、組織における自身の役割が何であるかを理解して自分を磨き、自分の信念を持ち、どんな困難にも屈しない気骨をもつ自律したリーダーとして成長することができます。そして、同じ修練を乗り越えた友との無二の絆を築き、育む。そんな貴重な経験をすることができるのが、岡山青年会議所です。我々は、共に切磋琢磨し、真に求められる存在となりましょう。

まちづくり室 (活気に満ちた夢あふれる真のまちづくり)

近年、世の中には、悲惨な事件や人災とも言える事故が多く起こっています。報道される内容はどれも自己中心的で他人を敬う気持ちを感じられない、目を覆うようなものばかりです。
多くの人は、「言われたことを従順にやる」「目的を教えられず、とりあえずやる」という教育を受けます。親の世代も、自身が受けてきた同じ教育をそのまま子供に施します。便利で人と関わらなくても暮らしていける時代に伴って、ふれあうことで豊かなこころを育む地域のコミュニティは希薄となり、自分の夢をもち、可能性を信じて挑戦することの大切さを子供たちに伝える大人が、少なくなっています。その結果、決められたことしかできず、「はじめる一歩」を踏み出す力を削ぎ、将来に暗い影を落としています。
私たちの郷土が「真にありたいまち・おかやま」である為には、夢が持てるまちでありたい、こころ豊かに成長できるまちでありたい、次の世代の為により良いまちでありたいと思い、岡山青年会議所はその実現の為に事業をしなければなりません。自分の可能性を信じ、夢を持つことの大切さを感じること。自分の暮らす地域のことを知り、誇りに思い、愛すること。そして、子供たちが周りの大人たちから見守られ、こころ豊かに安心して成長でき、自分の夢をかなえられるよう最大限の支援ができることが必要です。
岡山青年会議所のまちづくりは、公益法人格を有する団体として行政と連携し、単にイベントを行うのではなく、ひとりひとりが夢を持ち、我がまち「おかやま」を愛し、真に誇れるまちにするにはどうするべきか、訴えかけるものでなくてはなりません。世代を超えて、過去から今、そしてこれからのおかやまを考え愛して止まない。そんなこころに灯をともし、行動に移す市民を一人でも多くつくる。そんな事業を展開していきましょう。
また、おかやまの夏を彩る祭りとして発展し続けた「うらじゃ」は、今年で22回目を数えます。おかやまで最も大きな祭りである「うらじゃ」は、回を重ねるごとに踊り連・観客動員数ともに増加し、まちにとって貴重な財産になりました。その育まれた財産を、真に市民参加型の祭りとして更に発展させていくことが、私たちが為さねばならないことです。その為には、「うらじゃ」の歴史を検証し、行政と連携し、主役である市民との交流を行い、祭りを通じておかやまのひとのこころがひとつになる、そんな活動をしていきましょう。

交流室(かけがえのない真の友情)

青年会議所の活動は、会員が集うことにより、多くのチャンスが得られます。思いを共にするメンバー同士の交流は、LOMの内外を問わず、意見を交換し、出逢いやふれあい、巡りあわせによって多くの気づきを得られる貴重な場です。これらのチャンスは、その意義を理解し、礼を尽くし、参加する側と設営する側がこころを通わせることにより、無二の友情を醸成することができます。相手に楽しんでもらい、自分も楽しむ。参加した人が喜ぶだけでなく、設営した側も嬉しい。そんな見返りを求めないお互いの思いが交わることが「おもてなし」なのです。
交流は、一期一会の精神が大切です。その語源は、千利休の茶道筆頭を務めた山上宗二記に、「一期に一度の会」と書かれてあったものと言われています。「あなたとこうして出会っているこの時間は、二度と巡っては来ないたった一度きりのものです。だから、この瞬間を大切に思い、今できる最高のおもてなしをしましょう」と解されています。
例会は、テーマを明確にして設営することで、参加すれば必ず何かを掴む気づきの場となり、そしてメンバー同士が集うことで成長できる貴重な空間となります。
県外などで全国の青年会議所メンバーとの交流をする際には、お互いに礼儀を弁え、友情を育む場として最高の場を設えることで、ひとの輪が大きくなり、多くの価値観に触れることで気づきを得られ、自己成長につながります。
「あなたに会えて、良かった。」メンバー同士が真にそう思える場を創出しましょう。
また、岡山青年会議所の広報活動は、単に事業を告知するだけでは無く、その内容や手法も重要です。時代の流れに伴い、広報媒体の変遷が進む中で大切なことは、広報はコミュニケーションということです。相手のことも理解し、自らのことも理解していただく。何かを伝えるとき、最も理解していただきやすい手法で届けようとすることがコミュニケーションのあるべき姿であり、そのことを継続していくことが真の広報の姿です。広報活動を通じて、私たちの存在や、活動のなかにある思いを広めていきましょう。

組織未来室(あるべき真の姿)

溢れるばかりの情報がある現代社会において、組織の運営についても団体としての目的を明確にし、青年会議所活動をより効果的に展開しなければなりません。明るい豊かな社会を築くことを目的とし、おかやまに必要な真のまちづくりを行う為には、組織もあるべき真の姿を保持しなければなりません。公益社団法人格を取得し、行政と連携し活動していくためには、高い透明性はもちろん、LOMの組織と財務についてのあり方を再考し、これからの運営の基盤を考えなければなりません。
しかし、いくら体裁を整えても、そこに集うひとの成長無くしては、組織の成長も有りません。65年の歴史を振り返り、そこに受け継がれて来た伝統を大切にし、そして真の組織としてありようを考え、変化を恐れず、未来を見据えた組織運営を行いましょう。
また、多くの学びと気づきを得られ、素晴らしい感動体験の先に大きな成長がある岡山青年会議所ですが、会員拡大活動を行うと、「仕事が忙しい」「今はそんな時期ではない」等の理由で敬遠されます。しかし、今こそ岡山青年会議所に入会する必要があります。このひとづくり団体に入り、修練を積む。そうしてまちやひとに良い影響を与えられる同じ志を持ったリーダーを増やすことが、おかやまのまちの為になる。それこそが、私たちが公の利益に資する団体としてまちの未来のために成さねばならないことです。
まずは、私たちの熱意、誇りやJC活動の楽しさを伝え、共感を得ることに真摯に取り組み、会員拡大活動を展開しよう。

結びに

論語の一節を略したものに「知好楽」というものがあります。一般的な解釈は、「知っているだけの人は、好んでやっている人にはかなわない。好んでやっている人も、楽しんでいる人にはかなわない」というものです。

青年会議所に出会い、入会することを決めた私たちは、きっかけは様々ですが幸運にもその恩恵を享受し、多くの友人や師と出会い、多様な価値観に触れることや懸命に活動を続けることで得られる自己成長の先に、自分が歩むべき真の道を見出すことができます。そして、その先にあるどんな困難も乗り越える勇気と力を得ることができます。
人生は一度きりです。まずは、JCを楽しもう。JCの本当の楽しさを知り、このまちの未来を真剣に考えることを通して、自分たちの成長を促し、共に汗と涙を流して切磋琢磨できる仲間とともに40歳までの時間を思いっきり駆け抜けよう。

我らには無限の可能性がある。歩むべき真の道を、共に進もう。こころを定め、希望を持って進むなら、必ず道は開けてくる。

最後に本年度も公益社団法人岡山青年会議所は、果たすべき使命を全うするべく、全力で活動して参ります。特別会員の皆様、関係各位におかれましては、何卒ご支援ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。